築60年の平屋を、これからの暮らしへ。
第3回|木に刻まれた、この家の歴史
前回は、屋根の解体と、その中で見つかった幣串(へいぐし)をご紹介しました。
解体工事はいよいよ終盤へ。屋根や壁が取り外され、 築60年の住まいが骨組みだけの姿になりました。
久しぶりに晴れたこの日、解体が終わったとの連絡を受け、 スタッフで現場を見に行ってきました。
そこで目にしたのは、青空の下に広がる美しい木の骨組み。
そして、長い年月を越えて残されていた、大工さんの仕事の跡でした。
屋根がなくなり、見上げると一面の青空。 これまで家を支えてきた柱や梁が、はっきりと見えるようになりました。
何十年も前の大工さんが組み上げた家を、 こうして間近で見ることができるのは、リノベーションならではの機会です。
一本の柱に目を向けると、少し不思議な加工の跡がありました。
そこには、さらに昔の家で使われていた床柱を、 この家を建てるときに再利用したと考えられる名残がありました。
今から60年前にも、使える木を大切にし、 次の住まいへ受け継いでいこうとした人がいたのかもしれません。
新しくするだけではなく、今あるものを活かす。
私たちがリノベーションで大切にしている考え方にも、 どこか通じるものを感じます。
さらに骨組みを見ていくと、木材の接合部分にも、 昔ながらの工夫が残されていました。
「込み栓(こみせん)」とは?
柱や梁などの接合部に木の栓を打ち込み、 木材同士を固定する昔ながらの技法です。 木組みの知恵のひとつです。
今では建築の方法や道具も変わりましたが、 見えなくなる部分まで丁寧につくることの大切さは、 昔も今も変わらないのだと思います。
~現場の話~
解体を担当した職人さんから、「込み栓がしっかり効いていて、抜くのが大変だった」とのお話を聞きました。最近ではあまり見かけないという昔ながらの木組み。60年経っても感じられる、当時の大工さんの丁寧な仕事です。
そして、柱や木材には墨で書かれた文字や印も残されていました。
何気なく書かれたように見える文字も、 60年という時間を経た今では、この家の歴史を伝える大切な手がかりです。
このような文字にもかっこよさを感じるのが不思議です。
60年の時間を、次の暮らしへ。
山下工務店では、いつも「豊かさとは何か?」を考えながら家づくりをしています。
何もかも新しくすることだけが、豊かさではないと思います。 これまで大切にされてきたものに目を向け、 その価値を知り、これからの暮らしに活かしていくこと。
古い家だからこそ出会えるものを大切にしながら、 これから先も安心して、心地よく暮らせる住まいを つくっていきたいと思います。
こうして、解体工事がひと区切りを迎えました。
解体してみなければ分からなかったことも、たくさんありました。 この家が歩んできた時間を感じながら、 次の工程へ進むための大切な節目となりました。
最後に、今回の解体工事でとても印象に残ったことがあります。
現場を見に行った際、解体を担当してくださった職人さんが、 昔の大工さんの仕事や、解体の中で気づいたことを、 ひとつひとつ丁寧に話してくださいました。
60年前にこの家を建てた職人さん。 そして今回、その仕事に触れながら解体を進めてくださった職人さん。
時代が変わっても、木と向き合い、 目の前の仕事を大切にする気持ちは、 きっと変わらないのだと思います。
今回関わってくださった職人さんについては、弊社で3か月に一度発行しているかわら版にて紹介いたします!
これまでの家の歴史を大切にしながら、 最後まで丁寧に作業を進めてくださった職人さん。
おかげさまで、次の家づくりへと進むことができます。
丁寧なお仕事を、本当にありがとうございました。
次回|これからの暮らしを支える、基礎工事
解体工事を終え、次はいよいよ基礎工事へ。築60年の住まいを、これからも安心して暮らせる家にしていくために、
まず大切になるのが、建物を足元から支える部分です。
次回は、完成すると見えなくなってしまう 家づくりの大切な土台について、 工事の様子とともにご紹介します。
工事の様子はInstagramでも発信しています。
Instagramでは現場の「今」を、 ブログでは写真だけでは伝えきれない工事の意味や、 職人さんの仕事、家づくりへの想いをお伝えしています。
今ある家を、これからの暮らしへ。
建替えたほうがいいのか、リノベーションで活かせるのか。
まだ何も決まっていなくても大丈夫です。
今のお住まいと、これからの暮らしについて、 一緒に考えていきましょう。







